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唯川恵 ため息の時間
唯川恵 ため息の時間_a0027412_1815395.jpg裏切られても、傷つけられても、性懲りもなく惹かれあってしまう男と女のほろ苦い恋愛小説9編。
あとがきによれば、作者は「男の視点で女を描く」ことをずっとやってみたかったとか。恋愛や家庭生活、リストラ絡みの話が主な中、ちょっと異色なのが最後の「父が帰る日」という作品。
借金を残して幼い自分と母親を捨てた酒浸りの父親。30年ぶりに会った父親は身体を壊していた。入院先から1週間ばかり自宅に滞在することになった父親が修学旅行に行く息子のリュックを探る姿に、かつて自分が修学旅行のために牛乳配達をして貯めたお小遣いを盗られたことがよみがえり、激しい怒りとともに病院へ送り返してしまう。後になり、それは盗んだのではなく、孫のためにくしゃくしゃの千円札が1枚入っていたことがわかる。どうしようもない父親とはいえ、ちょっとたまらない印象的なお話でした。
by akimaru21 | 2004-08-31 18:38 | BOOKS
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